ストーリー
Chapter1
清水悠太(関野睦樹)は、ミカエル班に所属するサムエルという天使のミスで、まだ死ぬ運命ではなかったにも拘らず天国に連れてこられる。(天界ではこれを誤認召喚という)
日々己の出世だけを考えている大天使ミカエル(三品英士)と、その部下のガブリエル天使(水内義夫)とラファエル天使(天野哲也)は、ミスを誤魔化すため悠太にすぐ現世へ戻るよう言うのだが、死ぬ直前最愛の恋人に裏切られた彼は、二度と戻りたくないと拒否する。
同じ頃、自殺をして天国に来ていたヤクザの橋本太一(中村光秀)は、天使から自殺者はもう一度同じ人生を繰り返さなくてはならないと言い渡される。
自殺するほど苦しかった人生をもう一度繰り返すなんて絶対にイヤだと、太一も生まれ変わりを拒絶する。
全てを丸く治めるためのアイディアを思いついた天使たちは、悠太に彼の記憶を一番深く持っている人物の記憶を、現世時間で3ヶ月の間に消すよう(天界ではこれをメモリークローズという)提案し、一方裏ではそれを妨害するよう太一に指示をする。
これを受け入れた悠太と太一は、姿形も全くの別人となって現世にヨミガエルこととなる。
Chapter2
2人がよみがえった先は、個性豊かな面々が揃っている森総合法律事務所。
悠太はパラリーガルの池内純也(大須賀隼人)、太一は弁護士の水谷昌平(田中良)となっていた!
そしてあろうことか、悠太の記憶を一番深く持っていた人物は、彼を裏切ったかつての恋人・弁護士の遠藤葵(山家悠)だったのだ。
悠太は自分を裏切った葵に言いたいことや伝えたい思いなどがあるのだが、別人の姿となっているため葵は悠太の存在に気づかず伝えることができない。
おまけに葵に純也が悠太であると、昌平が太一であると知られてしまった場合、即刻葵も天界に召喚されなければならないと決められていたのだ。
そんなある日、結婚詐欺で訴えられたと、売れっ子キャバ嬢・松永聖子(牧野ミカ)が依頼に訪れる。
ボス弁・森孝太郎(加藤大騎)の指示で聖子の周辺を調べてみると、彼女が複数の男から貢がせたというたくさんのブランド品に車にマンション、店の売掛金などなど、総額約1億円という金額が浮かび上がる。
Comment〜舞台裏秘話
夢野さくら:今回、天界シーンの悠太・太一と、現世シーンの悠太(純也)・太一(昌平)を違う役者さんにやってもらったのだけど、2000年の時点では同じ人が演じることになっていた。
葵にはちゃんと同じ人に見えるんだけど、他の人には違う人に見えるという設定があったのだけど、お客さんが一番ややこしくない方法を取ろうと思い、今回は違う役者さんに演じてもらうことになりました。
稽古場では(というか飲み会の席で)、橋本太一役の中村光秀くんと水谷昌平役の田中良くんが、脚本には書かれていない「太一はなぜ自殺をするに至ったか!」を感動的に格好良く作り上げていたらしい^^;
私はその内容を聞いてないんだけど、その場にいた人に聞くと、相当格好いい過去だったみたい。
・・・たぶん私の考えている太一像より、全然いい男に仕上げたんだろうなぁ(^_^;)
Chapter3
刻々とタイムリミットが近づく中、なかなかメモリークローズを実行しない悠太。
それは葵に未練があるからだと太一に指摘されながらも違うと言い張る悠太だったが、彼の心の中には今でも葵がとても大きな存在だったのだ。
そんな中、聖子の調査を進めていた矢先、聖子がいると聞きつけた山内恵(桑野裕子)(聖子が貢がせていたた新田の元婚約者)が事務所に乗り込んでくる。 新田が聖子と結婚すると言い張り、婚約を解消されたというのだ。
どうしてくれるんだ!と激しく聖子をののしる恵。恵に7歳になる娘がいることを暴露され、「あんたのセックス1回いくらよ!」とまで言われた聖子は、「私にはお金が必要なの。お金のためなら詐欺でも強盗でも何でもやる!」と言い切る。
実は聖子の娘のアヤナは、拘束型心筋症という難病で、海外での心臓移植を受けるしか助かる道はないのだった。聖子の行動は全て、莫大が費用がかかる手術のためのものだったのだ・・・。
Comment〜舞台裏秘話
夢野さくら:今回ありえないことに、本番1週間前に入った固定稽古場で突然インフルエンザが流行りだし、山内恵役の桑野裕子ちゃんと、ガブリエル役の水内義夫くんが稽古に来れないという事態になってました(涙)
最後の1週間の連日稽古というのは非常に大切で、通し稽古→返し稽古→通し稽古→返し稽古とくりかえし、芝居をあげていくというのがスパコンの通常のやり方なのです。
通し稽古が出来ないうえに役者さんがいないので、最後の1週間の稽古に代役が立つという、通常ではありえない事態でした(>_<)
病気なのだから本当にしょうがないし、病気になった本人が一番辛かったと思うけど、結局全員が揃って通し稽古が出来たのは1回こっきり・・・。
だからっていうわけじゃないけど、今回の役者さんの団結力はすさまじいばかりで、ここは劇団か? というくらいみんなが一致団結してがんばってくれました!
・・・でも・・・もうこんな事態はイヤだぁ!!!
Chapter4
メモリークローズのタイムリミットが近づいていた。
太一は葵と2人っきりになれたのをきっかけに、なぜ突然悠太の前から姿を消したのかと尋ねる。頑なに口を閉ざしていた葵だったが、次第に太一に思いを打ち明け始める。
悠太とはじめて会った時、自分の頭がおかしくなったのかと思った。なぜなら悠太は、天涯孤独の身で貧乏で、おまけに職業は売れない役者・・・なのに、「ああ・・・この人に会うために生まれてきたんだ」と確信してしまったというのだ。
しかし、子供をほしがっていた悠太のため、プロポーズされた次の日に行った婦人科検診で子宮ガンが見つかり、もう子供を望めなくなってしまった葵。悠太と結婚する資格はないと思いながら、辛くて伝えることが出来ず、彼の前から姿を消してしまった・・・。
そんな話を偶然立ち聞きしてしまった悠太は、とうとう自分の思いの全てを葵に伝えてしまう。
ありえるはずもないと思いつつ、純也に悠太の姿を重ねてしまった葵は、「・・・悠太?」とつぶやく。マズイ!と思い、これ以上悟られないよう葵を気絶させる太一。「お前葵を殺す気か?!」と叫ぶ太一に、「殺してでもいいから一緒にいたい! でも葵は忘れたがってる・・・だから、メモリークローズします」という悠太。
天界に戻った悠太は、葵との来世へ思いを馳せ、来世への生まれ変わり計画書を作成するのだった。
Comment〜舞台裏秘話
夢野さくら:メモリークローズのシーンの照明には本当にこだわりました!
私がこだわったのは当然だけど、照明さんも相当こだわりを見せ、最初の私の指示とは全く違うものを出してきたり、ああでもないこうでもないといいながら作り上げていきました。
そして、この場面での3人の立ち位置を作り上げるのも非常に大変でした^^;
何度も何度も試行錯誤を繰り返し、葵はどうやって、どのような位置に倒れたら可憐に見えるのか、ぐったりした葵のどの部分を持ち上げたらキレイに見えるかなど、気持ちももちろんだけど、このシーンは相当形にこだわり、観にいらしていただいた女性(もちろん男性もだけど)のお客様全員の心を切なさと胸キュンで一杯にしよう作戦を決行しました!
その甲斐あって、本当に美しいシーンが出来上がり、心のそこから満足のいく結果となりました(^.^)
Comment〜舞台裏秘話
夢野さくら:この「ヨミガエリ」というお芝居は、今から9年前の2000年に原案を作っていて、天界のシーンはその時に書いたものが多く使われています。
スムーズに完成させていたら2001年の作品になるはずだったのだけど、何度も何度も挑戦してきたにも拘らず、なかなか思うように書き上げることができなかった。
書いても書いてもいつも現世部分がしっくりこなくて、このままでは締切りに間に合わない(涙)・・・また次回にしよう・・・ということが続きまくり、あっという間に9年という歳月が過ぎてしまいました(T_T)
これはもう、一生完成しないのかもしれない・・・なんて思っていたのだけど、今回はなぜかちょっとだけできそうな気がして思い切って書き出してみたところ、何とか完成することができました。本当に本当に思い出深い作品となりました!