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PERSONAL MESSAGE

2003 年10月公演

Chain Cutter

◆2003年10月10日〜13日
六本木アトリエ・フォンテーヌにて

スタッフ

【作/演出】夢野さくら
【チラシデザイン】杉山彩子
【音響】柴田道幸・高松宏成(ジョイサウンドプロモーション)
【照明】本間千鶴(ライトシップ)
【舞台美術】宮原修一((有)きさらぎ舎)
【舞台監督】植木英人((有)きさらぎ舎)
【演出助手】金子智美
【宣伝美術】SAYURI(Pink Dolphin)
【主催】スーパーコンプレックス
【総合企画】永愛地球基金
【協力】FMG・マガジン企画・柳坂明彦・早川麻里奈
【制作】(株)フォロ・ミー

キャスト

  • 杉山彩子
    「野村麻子」役
    杉山 彩子
    (--)
  • 原元太仁
    「岩田陽平」役
    原元 太仁
    (森田事務所)
  •  剣持直明
    「さつき」役
    剣持 直明
    (プロダクションタンク)
  • 小倉昌明
    「坂上正人」役
    小倉 昌明
    (亀の子新社)
  • 紺野相龍
    「青山源三」役
    紺野 相龍
    (--)
  • 高瀬ひとみ
    「野村良子」役
    高瀬 ひとみ
    (マガジン企画)
  • 奈良俊介
    「ダンボ」役
    奈良 俊介
    (Glove)
  • 小島とら
    「リリィ」役
    小島 とら
    (だるま企画)
  • 重松隆志
    「まるこ」役
    重松 隆志
    (ストレイドッグ)
  • 牧乃ミカ
    「浅倉美鈴」役
    牧乃 ミカ
    (THE東京ピチピチBOYS)
  • 坂東留実
    「川崎つかさ」役
    坂東 留実
    (FMG)
  • きとうちえ
    「本島由紀」役
    きとう ちえ
    (劇団塾)

ストーリー

Chapter1

ここは新宿メンタルクリニック。ここの待合室は何故かいつも、格好良いと評判の陽平先生(原元太仁)を、何とか我が物にしようと張り切る「紫頭巾」のオカマたちに占領されている。しかしその状況を、困惑しながらも放置しておく陽平の態度に呆れている看護士の由紀(きとうちえ)。そんなクリニックに、「紫頭巾」の常連で、OLの川崎つかさ(坂東留実)が、上司の野村麻子(杉山彩子)を連れてやって来た。つかさは「紫頭巾」のさつきママ(剣持直明)から、ここの先生が格好良いという話を聞いていたので、最近仕事のストレスで寝付けないと言っていた麻子を、これ幸いにと無理矢理連れてきたのだった。麻子が診察室に入って行くと、そこには何故か驚いた表情で麻子を見つめる陽平がいた。実は陽平、麻子の中学時代の同級生だったのだ!初めは陽平を思い出せない麻子だったが、徐々に彼が「いじめっ子の武藤くん」に使いっぱにされていた事を思い出し、懐かしそうに話し始める。

シーン1シーン2

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:この芝居、沖縄2泊3日の旅行中に作りました。始めはこの芝居をやるつもりじゃなくて、違うものを書いてました。でも、どうしてもまとまらず、締め切りは迫るという状態だったので、それまでのものをいったんストップ。しかし新しい話を考える時間など全然ない!なのに「気分転換に」と言いつつ旅行に行く私…。そんな事態の中、殆どホテルのプールと温泉の中で内容を作り上げ、帰って来た途端に書き出したという、いわく付きのお話です。

杉山彩子(主演):今回も、可愛い女の子と、濃〜い男性陣で構成されていました。特に、剣持さん!(さつきママ)とっても芸達者で、頭も切れて、そしてコミカルなルックスを合わせ持つ、二人といない素敵な役者さんです。しかし、剣持さんの衣装にはとっても苦労しました。そして決定したのがぴちぴちスパッツにラメ入りフリル付きブラウス…。一体何処に行ったらそんなの買えるんだよぉ〜!という代物…。最後には目が慣れたけど…。いいのだろうか?という思いを残す衣装でした。

Chapter2

ある日の待合室。さつきは診察中の麻子に紹介しようと、青山源三(紺野相龍)を連れて来ていた。源三は勤めていた信用金庫を、彼の困った性格のためリストラされていた。実は彼、人と争う事が大嫌いで、人を押しのけて何かをやり遂げるという事が大の苦手。ハーバード大学を卒業し、多くの資格も持っているが、仕事に結びつける事が全く出来ないでいた。その時、1人の男、坂上正人(小倉昌明)がクリニックに乱入してくる。突如正人は「野村をここに出せ!」と怒鳴り出す。何事かと診察室から降りてきた麻子に対し、「俺はお前にせいで会社を首になった。お前も俺と同じ目にあわせてやる」と言い放つ。実は麻子の仕事とは、リストラメンバーの選出だったのだ。麻子のせいで自分の人生とプライドを目茶苦茶にされたと言い切る正人に、さつきは「あんたには最初からプライドなんてないの。プライドっていうのは自分を尊敬する心。あんたにはその心がないでしょ?」と肩を叩く…。

シーン3シーン4

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:今回の「紫頭巾」のオカマさんたち、本当に濃かった!あまりの濃さに、稽古場が「紫の霧」に覆われたように見えたほど…。そのうえ皆さん、とても芸達者な役者さんばかりだったので、稽古場は毎日大爆笑の渦。笑い過ぎで前に進まず、「いい加減、お互いの顔に慣れて下さい」という異例のダメ出しをしたほど。そして、さつきママの良いセリフでジーンとさせられた後、舞台監督が一言、「あんな顔した人にジーンとさせられた自分が悲しい…」

杉山彩子(主演):青山さん役の紺野さんの台詞は、本番では東北弁だったのですが、本当は標準語だったのです。でも、東北出身の紺野さんが一度方言でやってみたところ、すんなり採用に!ところがあまりに訛りが強すぎて、外国語化していて意味が分からない。なのにダンボちゃん役の奈良さんだけには通じてしまうのだ!しかも方言返しもやってのける。同じ地方の出身らしいです、どうも…。

Chapter3

正人は探偵を雇って麻子を調べていた。麻子が毎晩新宿の街で男を誘い、ホテルに連れ込んでいると暴露する正人。思わず「やめてー!」と叫ぶ麻子。とそこへ、麻子の母・良子(高瀬ひとみ)がやってくる。麻子には目の不自由だった妹・理沙がいるのだが、数年前に手術を成功させ、来月無事結婚する事に。今まで一生懸命理沙の面倒を見てきた麻子だったが、突然結婚式に出ないと言い出した。良子は陽平に「麻子が私に逆らうなんておかしい。あなたが麻子にそう言わせてるんでしょ!」と食って掛かる。すると麻子は、突然堰を切ったように話し始める。全ての関心を理沙に向けている良子に、ただ自分を見て欲しかった!褒めて欲しくて、ただそれだけの為に理沙の面倒を見てきた。理沙の目が治った今、私にはもう居場所がない。誰でも良かった。私が必要だって言って、傍に居てくれるなら誰でも…。麻子は居場所が無くなるという恐怖から、セックス依存症になっていたのだった!
シーン5シーン6

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:「セックス依存症」、これは今回の芝居のキーワードでした。世の中には、その事柄(男漁りをしているとか…)だけを見ると「あの人信じられない!」と、つい思ってしまうような行動を取る人がいる。でも物事には全てに原因があって、その結果が、人をある行動に駆り立てるのでは?彼女(彼でも)はなぜそうなってしまったのか?問題の根本は、行動ではなく心にあるのではないか?なんて事を考えながら、沈み行く沖縄の夕陽を見つめている私でした…。

杉山彩子(主演):セックス依存症って、マイケル・ダグラスがそうだと聞いているが、難しい病気だよね。 ちょうどこの独白のシーンに入るところで、笑いが止まらなくなった日があった。その時私の視界のすみに、三つの、鳥の様に首から上だけが動く物体が…。さつきママ、ダンボちゃん、まるこちゃん(重松隆志)の3オカマだった。この3人の裏芝居…。凄いんだインパクト強すぎて!!!笑いが止まらなくてダンボちゃんに睨まれそうだったので、必死に堪えたけど、台詞はぼろぼろだった。

Chapter4

そんな麻子を包み、励まし、立ち直らせてくれたのは陽平だった。絶望の中で立ち止まっている麻子に、「周りをちゃんと見てみろ。いつだってお前が必要だって言ってるんだ。見ようとしなかったのはお前の方なんだよ。大丈夫、ちゃんと傍に居るから」と言ってくれたのだった。そして1年後…。いつもと同じ待合室…ではなかった! なんと麻子は、気分転換にと陽平が連れて行った中学時代の同級生との飲み会で、陽平をイジメていた武藤と運命的な再会を果たす。そして武藤と電撃的な結婚をし、彼の転勤先であるNew Yorkに行ってしまったのだ!誰もが麻子は陽平と付き合うと思われていただけに、急転直下のまさかの展開に、ひどい落ち込みようの陽平。不機嫌にオカマたちに当り散らす。しかしつかさたちはおおはしゃぎ!なぜならNew Yorkに遊びに行けるから!またまた1年後…。「紫頭巾」ではあるパーティーが開かれていた。なんと陽平と由紀の結婚式!New Yorkから麻子もお祝いに駆けつけ、楽しいパーティーは過ぎていく…。

シーン7シーン8

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:カーテンコールの陽平と由紀の結婚式。これは最初から考えていたものじゃないんです。 ラストに振られる陽平があまりに可哀想だという意見が続出し、だったら由紀ちゃんと結婚させようと考えました。舞台監督は麻子の事を「陽平よりニューヨークを選ぶなんて、本当の幸せを逃した女だ。きっと武藤に捨てられる」などと、この後のストーリーまで想像してました。舞台監督曰く、武藤はニューヨークで白人女性と浮気をするそうです。

杉山彩子(主演):今回、初のカーテンコール芝居というのをやって好評だった。曲だけが流れていて、陽平さんと、由紀ちゃん(きとうちえ)の結婚式を台詞なしで見せるものだったんだけど、とっても素敵だった。こういうラストはまたやってみたいと思う。でも、もともと台本上にはなかったので、また一つ衣装が増えてしまい、どーすんのよー!って感じだったんだけど、やってよかったな。

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