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CHAIN CUTTER 〜人が人を裁くには・・・〜

2007年10月公演

 

Chain Cutter

◆2007年10月18日(木)〜21日(日)
六本木アトリエ・フォンテーヌにて

スタッフ

【作/演出】夢野さくら
【音  楽】河上 修
【音  響】柴田 道幸 <ジョイサウンドプロモーション>
【舞台美術】宮原 修一 <(有)きさらぎ舎>
【舞台監督】植木 英人 <(有)きさらぎ舎>
【照  明】本間 千鶴 <ライトシップ>
【振  付】大島 おりえ
【スタイリスト】田中 美重
【演出助手】杉崎 正徳
【チラシデザイン】杉山 彩子
【協  力】 (有)だるま企画、劇団だるま座、KNP CO.,LTD. PLASTIC RAINS、FMG、SAYURI、BE☆WITH
【制  作】木川 美由紀
【主  宰】演劇ユニットスーパーコンプレックス

キャスト

  • 杉山彩子
    杉山 彩子
  • 黒木麗太
    黒木 麗太
  • 能見俊三千
    納見 俊三千
  • 瀬戸寛
    瀬戸 寛
  • 奈良屋優季
    奈良谷 優季
  • 柴田直伸
    柴田 直伸
  • 中牧俊明
    中牧 俊明
  • 石橋ゆう紀
    石橋 ゆう紀
  • 桑野 裕子
    桑野 裕子
  • 三枝 ゆきの
    三枝 ゆきの
  • 木之下 ひかり
    木之下ひかり
  • 速名 美佐子
    速名 美佐子
  • 杉田 大吾
    杉田 大吾
  • 中神 千可
    中神 千可
  • 大島 おりえ
    大島 おりえ
  • 山下 幸絵
    山下 幸絵
  • 多田 織栄
    多田 織栄
  • 平松 里恵
    平松 里恵
  • 桐山 佳奈
    桐山 佳奈

ストーリー

Chapter1

平成22年11月某日。ここ東京地方裁判所第一評議室において、裁判員制度開始後初めてとなる殺人事件、『美人ダンサー実母殺人事件』の評議が始まろうとしていた。評決は全員一致と決まっているのだが、集まったのは、この制度に不満を抱くエリート判事と、無作為に選ばれた素人裁判員6名。女を執拗に馬鹿にする裁判員1号三田健一や、そんな態度に腹を立て、どんな有力な証拠が出ても、三田と同じ意見にはしないと言い切る5号太田麻衣子など・・・。お互い初めての経験という事もあり、評議は最初から波乱の展開となっていく。裁判の争点は、被告に殺意があったかどうかという点。証人の三崎優香が、「私は確かに、被告が被害者の背中を押して、階段から突き落としたのを見ました」と証言した事、そして事件現場に、被告の物と思われるカッターナイフが落ちていた事から、事件は計画的に行われた可能性が高いと判断され、裁判員たちの意見は徐々に有罪へと傾いていく。

シーン1シーン2

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:この作品は、裁判員制度が始まる前にどうしてももう1度やりたかったので、再演できて本当にうれしかったです。内容的にはほとんど書き換えなしでの再演だったのですが、キャストをほぼ入れ替え、演出を変えてみました!謎解きの要素も入っていたので、本の内容を重視し、よりストーリーを際立たせる演出をしてみたところ、前回も面白かったといってくださったお客様が、「本当に同じ本?すっごく面白かった!」と喜んでくださり、演出の難しさと楽しさを勉強できました!

杉山彩子(主演):今回の再演も、前回と同じく大島おりえさんの素敵な振付けで、まぁ〜色っぽい色っぽい!裁判長役の納見さんなんか、エロ親父全開って感じで、食い入る様にダンサーさんたちを見つめていました(笑)今回の「判事’S」(判事の三人)は組み合せ的にどうなのかしら?と正直思っていたのですが、いやいや、初演以上にパワーアップ!おまけに、いつのまにか裁判長が、おぼっちゃまのマザコン男になっていて、(私の勝手な思い込みでしょうか?)思い出すだけで笑いがこみ上げてしまう。ははは。

Chapter2

無罪側の6号岡本勇次は、被害者が事件当時着ていたカーディガンの「裾の毛糸」が、被告のしていた、何の飾りもないシンプルな指輪に絡んでいたという点が腑に落ちない。しかし2号須藤真澄に「被告の腰の部分に触れ、突き落とさない限り、毛糸は指輪に挟まりません」と言われてしまう。有罪の証拠はたくさんある、しかしどうしても確信が持てない勇次。それは証人の三崎優香が、被告のダンサーとしての才能を妬んでいたという事実があるからだ。被告を妬んでいた証人の意見をそのまま信じていいものなのか?だが優香は、決定的ともいえる証言をしていた。それは被告が、長年に渡り母親から虐待を受けていたという事実だった。虐待をされていた事、そして当時付き合っていた彼のと結婚を反対された事、その事から、被告は被害者を恨んでいたに違いないと!しかし被告の保坂恵美里は、「私は母を心から愛していた。自分は彼から貰った大事なネックレスを母親に引きちぎられたので、それを取り戻そうとしただけ。殺そうと思った事は一度もない!」と明言していた。

シーン3シーン4

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:人が変わると芝居が変わる・・・そしてダンサーさんが変わるとダンスも変わる。曲もオリジナルを作っていただいたおかげで、前回とはまたまるっきり違うCUTE&SEXYなダンスシーンとなりました!いやぁ・・・ダンサーさんたちが来ると、男性陣のテンションが上がる上がる(笑)「ありえないだろう!そのテンション!」と突っ込みを入れたいぐらいに大盛り上がりの男性陣に、私も彩子ちゃんも女優さん方も大爆笑!特にハンジーズの納見さん&柴田さんと、岡本勇次役の瀬戸寛くんがすごかった。うれしそうにダンスシーンを見つめ、誰が一番好みのタイプなのかで激論を繰り広げておりました。そうそう!静かに食い入るように、とあるダンサーさんにロックオンしていた人も・・・一番の若手、林葉亮太役の中牧俊明くんでした(笑)

杉山彩子(主演):何度も何度も演じて来たこの舞台も、人が違えば、ほんとに違う。勿論初演もよかったけど、私は今回もなかなかいいと思っている。でも、この作品は本当に苦労する事が多い。なんて言ったって座っている事が多い上に、しゃべり言葉とは違う、かたい台詞。照明があたると、疲労の度合いによっては、頭がぼーっとしてしまい、途端に呂律が回らなくなる。そして、一人がそうなると、それはすぐに全員に伝染し、終わってから夢野さんに怒られる(笑)緊張感あったわぁ〜。

Chapter3

3号加藤美樹子は、審理中から引っかかっていた事があった。それは証人が、検察官から証拠のネックレスを見せられた時、思わず目を細めた事、そして反対尋問中に目薬を差していた事だった。結果美樹子は、証人は目が悪くドライアイなのだと推理する。その意見を聞き、勇次にある考えが浮ぶ。あの指輪に糸が挟まる為には、突き落としたくらいじゃダメなのではないか?そうではなく、掴んだ!つまり被告は、階段から落ちそうになった被害者を助けようと、咄嗟に裾を掴んだのではないかと!評議室の空気が一気に無罪へと傾く。しかし健一は頑なに有罪を押し通す。それは女全般を憎んでいるからだった。実は5年前、6歳になる息子を交通事故で亡くし、事故を防げなかった妻を恨んでいた。子供を亡くした怒りと悲しみを妻にぶつける事で、耐え難い辛さに耐えていたのだ。しかし5号太田麻衣子の、「私の父も、命に代えて私を産んでくれた母の死を、全部私のせいした。あんたに父に愛されたかった私の気持ちが分かる?一番辛いのは奥さんなのよ!」という必死の言葉に、自分のしてきたあまりに理不尽な行動を後悔するのだった。

シーン5シーン6

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:記録用DVDを撮っていた日、加藤美樹子役の奈良谷さんには足りないものが1つあった。それは豹柄のベルト!今回の奈良谷さんの衣装は、全身の紫色を豹柄で統一したヘアバンド、ベルト、靴で引き締めるというコンセプトだったんだけど、その中心にあるベルトがなかったのです!幕が開いてしばらくしたとき、私の頭の中で「何かが足りない気がする・・・」と思ったんだけど、それは奈良谷さんも当然気づいていて、内心めちゃくちゃ焦っていたそうです(笑)アクシデントって怖いよねぇ・・・。そうそうアクシデントでもう1つ。亮太役の中牧くんは、無罪に手を上げなくてはいけないシーンで思いっきり有罪に手を上げ、藤井俊哉役の柴田さんに「ほんと〜によろしいんですか?」と聞かれて自分のやらかしている事に気付き、「やっぱりやめます!」と焦りまくって手を下ろしました。もちろん本番でのお話です(笑)・・・怖い!

杉山彩子(主演):殆ど初演とは違うキャストの中で、占い師役の奈良谷さんは数少ない続投組。今回の奈良谷さんを、私は陰で白雪姫の継母と呼んでいました・・・ははは。その一端を担うあの銀髪ボブ鬘!皆様見覚えはありませんか?実はあの鬘は、ナチュラル2003で鈴音ちゃん役の柴田さんがかぶっていたものなんです!いやあ〜、懐かしいですねぇ〜。しかし、どこの国の芝居?ってかんじもするけど、占い師らしさは初演より増しているような気がする・・・。奈良谷さん、私がセックスしない理由の乙女な役から・・・・・・。なんとも幅の広い女優さんだわ〜。

Chapter4

有罪は2号須藤真澄ただ一人となった。カウンセラーをしている6号岡本勇次は、カッターは凶器ではなくリストカット用だったのではないかと分析する。真澄はそれに対し、だとしたらなぜショーのあと、ダンス衣装を着たまま持っていたのか?ダンスをするのにカッターは必要ない。殺すつもりだから持っていたと考える方が妥当ではないのかと答える。すると勇次は、カッターは被告のお守りだったのではないかと発言する。なぜならリストカットは死ぬ為ではなく生きる為にするもの。被告にとってのカッターは、これさえあれば、生きている実感が湧くたったひとつのお守りだったのではないかと・・・。真澄は突然「殺したとか殺してないとか関係がない!」と、人が変わったように強弁に言い募る。実は真澄も母親からの虐待を受け、それを自分の娘に繰り返していたのだった。「子供は母親の言う通りに生きていくもの!彼女は母親を裏切り男を取ろうとした。だから罪を償うべき!」との真澄に、「ここはあなたの人生を正当化する場所ではない。繋げちゃいけない鎖は断ち切るべきだ」と答える勇次。人生には、切らなくてはならない絆もあるのだ・・・。ついにここに、全員一致の無罪判決が出る!

シーン7シーン8

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:今回大きく(でもないけど)書き換えたのは、大ラスの彩子ちゃん演じるところの須藤真澄のセリフ。彼女は被告と同様母親からの虐待を受けて育ち、それを自分の娘に繰り返しているという、ものすごくヘビーな役柄。なぜ繰り返してしまうのか・・・その心の動きを見ている人にわかりやすくしたかったので、真澄が娘に抱いてしまう思いを追加したのです。私は書いている途中で、その登場人物に感情移入してしまう人・・・。真澄のセリフを書きながら、ついつい彼女の思いが乗り移ってしまい、書きながら泣いてしまいました(汗)だから私は人がいると仕事が出来ない・・・。だって恥ずかしいんだもん!

杉山彩子(主演):今回の二枚目ヒーロー役者、寛くん!いやあ、予想以上にかっこよく演じてくれた。女性のお客様からの、あの人素敵!という声がかなり耳に入って来たもの。実は寛くんは、私と同じ事務所で、何度も一緒に芝居してきた大事な仲間だ。気心知れてるって、こんなにやりやすいとは思っても見なかった。やっぱり信頼って凄いね。もし私が何か失敗してしまっても、きっと寛くんならなんとかしてくれるって思えるもの。(実際、訳わかんない事言っちゃったらしっかりつないでくれた・汗)やっぱり、芝居はチームワークだわ!

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