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Natural・2003

2003 年2月公演

Chain Cutter

◆2003年2月8日〜11日
六本木アトリエ・フォンテーヌにて

スタッフ

【作/演出】夢野さくら
【チラシデザイン】杉山彩子
【音響】柴田道幸・高松宏成(ジョイサウンドプロモーション)
【照明】本間千鶴(ライトシップ)
【舞台美術】宮原修一((有)きさらぎ舎)
【舞台監督】植木英人((有)きさらぎ舎)
【演出助手】宮地恵理
【宣伝美術】齋藤さゆり
【主催】スーパーコンプレックス
【総合企画】永愛地球基金
【協力】FMG・マガジン企画・柳坂明彦・早川麻里奈
【制作】(株)フォロ・ミー

キャスト

  • 杉山彩子
    「吉岡 真」役
    杉山 彩子
    (--)
  • 小倉昌明
    「吉岡哲也」役
    小倉 昌明
    (亀の子新社)
  •  奈良谷優季
    「吉岡美津子」役
    奈良谷 優季
    (--)
  • 馬場隆昭
    「琴 美」役
    馬場 隆昭
    (--)
  •  原元太仁
    「あんこ」役
    原元 太仁
    (森田事務所)
  • 土屋貴司
    「さゆり」役
    土屋 貴司
    (マガジン企画)
  •  柴田直伸
    「鈴音」役
    柴田 直伸
    (FMG)
  •   田中良
    「トンボ」役
    田中 良
    (--)
  • 池上リョヲマ
    「小雪」役
    池上 リョヲマ
    (オフィス高木)
  • 萬 雅之
    「かれん」役
    萬 雅之
    ((有)F ACTOR)

ストーリー

Chapter1

不況の風に晒され、ここニューハーフバー「ピンクドルフィン」でも、客足が遠のいていた。にもかかわらず、明るさを失わない彼女(?)たち。さゆり(土屋貴司)の書く、訳の分からない小説に盛り上がり、ダンサー志望の鈴音(柴田直伸)は将来その主役を踊りたい!と夢を語る。そこに突然、性同一性障害を持つ男子高校生、吉岡真(杉山彩子)が働かせて欲しいとやってくる。事情を尋ねるママ琴美(馬場隆昭)に、実は今、自分は女なのだと言う事を両親に打ち明け、その為家を追い出されたのだと話す真。そして真の父(小倉昌明)は、琴美が男だった頃勤めていた会社での、後輩にあたると言うのだ。そのうえ父は、琴美が女となった事実を雑誌で知った時にも「この人は素晴しい人だ。この人がそう決めたのだからそれでいい」と真に話していたという。そんな折、出場することすら難しいと言われる、クリスマス最大のダンスショー「カマナイト」へのエントリーが決まる!

シーン1シーン2

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:初の再演作品です。2003年はスパコン5周年だったので、何か特別な事をしたいと思っていて、だったら以前から「再演を」という声の大きかった「Natural」をやろうという事になり、どうせやるんだったら、頭から全部書き直そうと思い立って、役も2人増やしての再演となりました。初演の時には、そこまで気を配れなかったという反省もあったので、衣装やメイクにも力を入れました。お陰で皆とても可愛くなってくれて、大満足でした!

杉山彩子(主演):再演ということで、何もかもがグレードアップしていた「Natural・2003」。男の子達の可愛かった事。今回は、頑張って無理矢理女装した男ではなく、本物の女だった。特にかれんちゃん(萬君)と小雪ちゃん(リョヲマくん)の2人なんて、ニューハーフそのもの(驚)! 最初は嫌がっていたメイクも毎日するうちに、私より遥かに鏡に向かう時間が長くなっていった…(汗)。でも、私のナンバーワンは異色キャラの鈴音ちゃんよ!マニア?

Chapter2

真の睾丸摘出手術が迫ってきていた。父哲也は、真が女だと言う事実を全く受け入れず、現実から背を向け、妻・美津子(奈良谷優季)との間にも深い溝が出来ていた。 真の告白から1年、美津子は真の性同一性障害を治す為、連日病院を回っていたが、結局、治す=性転換手術という事実に直面するしかなかった。睾丸を取ってしまったら、もう真は自分の子供を作る事が出来ない。子供を持つという何物にも変えがたい喜びを、あの子の手から奪ってしまう。だがこれ以上苦しんでいる真を黙って見ている事は出来ない。そう決心し、哲也に手術の事を打ち明ける美津子。取り乱し、妻に食って掛かる哲也。 その夫に「どんな姿になったとしても、真は私たちの子供です!」と言い切る美津子。その母に「私でごめんね」としか言えない真。そんな真を笑い飛ばし「あんたが理想の子」と話す美津子。真は母の小さな背中を見つめながら、黙って自分の平らの胸を触るしかなかった。

シーン3シーン4

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:「睾丸摘出手術」…発音してみて下さい。これ、本当に言い難いセリフだったんです。自分は書くだけで、実際に発音してないので、美津子役の奈良谷さんに「言い難いんですけど」と言われ、「本当だ…」と気付きました。奈良谷さんの、「「の」を入れていいですか」との提案で、「睾丸摘出の手術」というセリフに直しました。「手術」ってセリフだけでも言い辛いのに、「摘出」なんて付いたあかつきには、役者泣かせのセリフになっちゃうんですねぇ。

杉山彩子(主演):今回のお母さんは、奈良谷さん。めちゃくちゃ明るい人だ。お父さんは小倉さん。このお父さんがすっごく良い!ラストの父娘?のシーンなんて、毎回泣けて泣けて!おかげでとてもやりやすかった。でも、普段の小倉さん…ちょっと変わってるのだ。良い人だけどね。 さゆりちゃんに「おぐぴー」なんていうわけわかんないあだ名をつけられて、寄ると触ると2人はちょっかい出しあっていた様が、おかしかった。

Chapter3

初めての「カマナイト」で優勝を逃してしまった「ピンクドルフィン」。それでもその関連記事を読み、盛り上がる彼女たち。優勝目指し、必死で稽古をしたにも関わらず、数ヶ月前に起こったある出来事の為、思っていた結果が出せないでいたのだった。 実は、小雪(池上リョヲマ)が当時付き合っていた桜井という男を、かれん(萬雅之)が「彼の方から言い寄ってきた」と開き直り、奪った形になっていたのだ。それから数ヶ月、やっと2人の仲も元に戻ってきた矢先、突然かれんが、桜井を振ったという事実が明かされる。 「どういうこと?」と詰め寄る小雪に、かれんは「振らなきゃならなかったから」と答える。実は桜井、かれんの初恋の相手だったのだ!一途に彼を思い続けた彼女に対し、桜井はかれんの存在すら思い出さない。好きな相手に忘れ去られる辛さを味わって欲しかったと、かれんは泣き崩れた。彼女の奔放に見えるその姿は、実は悲しさの裏返しだったのだ…。
シーン5シーン6

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:かれんには、超高飛車で嫌味なところと、一途過ぎて脆いところの二面性をどうしても出してもらいたかった!それが出ない限りこのシーンは成立しないと思っていたので、かれん役の萬君には、本当に頑張ってもらいました。その反対に、小雪役の池上君には、純粋で可憐な少女像を求めました。男性に、女のいろんな要素を表現してもらうというのは、私も大変でしたけど、彼らはもっと大変だったと思います。本当にご苦労様でした。

杉山彩子(主演):また、原元さんがやってしまった…。今度はこの真剣なシーンで、はいていた巻スカートを落としてしまったのだ!!!しかも稽古では一度も落ちなかったのに、本番で…。ここまできたらもうわざと狙ってるとしか思えない…(溜息)。苦しかったなぁ〜。笑い堪えるの…。振り向いた途端、私達の目に飛び込んで来たのは、下半身黒タイツの原元さん…。 勘弁してよー!もう!!!さゆりちゃんが、「原兄はそういう星の元に生まれているのよ」の一言で片付けた。

Chapter4

心労がたたり、ついに倒れてしまった美津子。動揺する哲也は「ピンクドルフィン」に乗り込み、無理矢理真を連れ帰ろうとする。そこに琴美が現われ「お久しぶりね」と話しかける。しかし琴美に対し、頑なな態度を取り続ける哲也。そんな哲也に「これからカマナイトのオーディションがあるから、まだ病院には行けない」と言い出す真。怒り狂い「お前は、俺や母さんの気持ちを全然分かっていない!」と決め付ける哲也。その時、今まで抑えてきた真の想いが爆発する。「じゃあ父さんに私の気持ちが分かる?男の身体の中に、女の心を入れて生まれてきてしまった私の気持ちが父さんに分かるの?!」それは、初めて聞く真の心からの叫びだった。どうしようもないその苦しさに接した時、哲也の心の中に、真が生まれた瞬間の喜びが蘇る。「あの時は嬉しかったな。男でも女でも、真って名前にするって、ずっと前から決めてたんだ。男でも、女でも…」。そしてカマナイトのステージの幕が上がる!

シーン7シーン8

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:私の中では、初演の時からずっと、ラストの「カマナイト」では「ピンクドルフィン」が優勝する事になってます。でも踊るのは役者さんで、ダンサーではない。となると、日本一になるはずのダンスをやるためには、それ相当の稽古をする必要がある…。ここで、日本一のダンスなんて無理だからぁと考えないのが私の無茶なところ…。とにかくやるだけやりましょうと、役者さんは疲れた身体に鞭打って、殆ど毎日ダンスの稽古に明け暮れました。

杉山彩子(主演):ダンスの振付けも初回と比べるとかなりグレードアップした。私も超ダンス初心者から、ただのダンス初心者くらいにはなったかなぁ〜?そして、今回の目玉!「ピンクドルフィン人気投票No1決定戦!!!」。その為の店外写真を、綺麗にデジカメで撮影し、劇場入り口に張り出した。本物の女である私には超不利な企画じゃぁないのよー!(怒)って感じだけど、なかなか面白かった。そして、栄えあるNo1は、かれんちゃんに決定!でもリョヲマくんはびっくりする程可愛い娘ちゃんだった。

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